城山三郎 「危険な椅子」

経済小説のパイオニアと言われている城山三郎の力作長編。

「危険な椅子」

あらすじ

夫の乗村がついに渉外連絡課の課長の座に就いた。

本社への栄転と思っていた妻の真起子だが、夫の部下光野と話すうちに夫は汚れ仕事をやらされていることを知る。

マンキイ・ビジネスと呼ばれ、外国人バイヤー相手に女を斡旋し闇ドルを扱う乗村。

会社にやれと言われたら、どんな汚れ仕事であっても遂行するか、断ってクビになる以外に選択肢はない。

そんなある日、不法取引の契約書が入った乗村の背広が何者かに盗まれた。

それをきっかけに悪事がばれ、外国為替管理法違反、売春斡旋等の疑いで逮捕されてしまう乗村と光野。

しかし、これら一連の事件は現社長の失脚を狙う専務派による陰謀であることに光野は気付く。

最後まで信じていた会社は自分のことを一切守ってくれず逮捕されてしまった乗村。

組織の陰謀を世の中に訴えようと奔走する光野。

そして専務派に一矢報いようとする光野にときめくものを感じる乗村の妻真起子。

時代、社会、組織に絡めとられてしまった課長の椅子は呆気なく崩れ去ってしまうのか。

真相を明らかにしようと光野は株主総会に乗り込んだ。

感想

経済成長が著しい戦後のギラギラした時代を感じる経済小説です。

会社が言うことが全て、派閥争いには巻き込まれ、指示されたら断ることはできず、使えなくなった駒は容赦なく切り捨てる、そんな時代が本当にあったのかと疑問に思うほど、現代とはかけ離れた社会が描かれています。

(すいません、僕は完全にゆとり世代です)

会社の在り方や会話の流れだけでなく、男女の関係や丸の内、熱海の描写などストーリーの隅々から平成とは違う時代の空気を感じることができ、とても新鮮でした。

現代でいうと池井戸潤の描く社会派小説が近いものを感じますが、時代が違うだけで社会の歯車になることの重みがこんなにも違うのかと驚いています。

今の時代に生まれて良かった…笑

大ヒットした「毎日が日曜日」や直木賞受賞作品「総会屋錦城」が有名ですが(僕もこの2作品しか読んだことがありませんでした)、「危険な椅子」も負けず劣らず面白かったです。

重々しいどんよりとした展開にも関わらず、話は軽快なテンポで進んでいき、ページをめくる手が止まりませんでした。

城山三郎は会社員をしたことがないとのことですが、どのようにして組織の一部として働く会社員の心情をこんなにも細かく描くことができるのでしょうか。

昭和という時代に会社という大きな壁に挑む熱い男たちを描く城山三郎の経済小説「危険な椅子」をぜひ読んでみてください!

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