重松清 「青春夜明け前」

重松清の実体験を基にした男子の、男子による、男子のための短編集です。

本当の男子を知りたい女性にもオススメ。

「青春夜明け前」

あらすじ

とんがらし

「同盟」、「条約」、「宣戦布告」が男子限定の流行語だ。

大西君と藤木君とぼくはメンバー以外誰も知らない「とんがらし同盟」を組んでいる。

合言葉は「いざとなったら玉を出せ!」

モズクとヒジキと屋上で

モズクは親友のモンちゃんのことが好き。

ヒジキは僕のことが好き。

でもそれは僕らにとって不名誉なことであった。

タツへのせんべつ

タツはぼくに何も教えてくれなかった。

3日後に転校するというのに。

せめて最後にタツが喜ぶことをしてあげたい、と思って兄ちゃんに相談したのに勝負事に勝つお守りが「毛」ってどういうことじゃ…

俺の空、くもり

スギ、ノムさん、イトー、シミズ、俺。

残りわずかな高校生活が終わるとばらばらになってしまう。

童貞なのは俺だけだ。

横須賀ベルトを知ってるかい?

ベルトのバックルが体のほとんど真横にある方が素早くベルトを抜いて攻撃できる。

ダボシャツに背広を羽織って教室にあらわれた転校生のダテくんに教えてもらったのだ。

そんなわけで、流れ者のダテくんの最終登校日、3年生に体育館裏に呼び出された。

でぃくしょなりぃ

男と女が「デキている」にひっかけてできたバカな言葉。

そんな中学である日下駄箱の蓋を開けたら手紙が入っていた。

ピンク色の封筒だった。

春じゃったか?

二年前、誰からも忌み嫌われていた乱暴者のギュウちゃんが死んだ。

ちっとも悲しくなかった。

高校3年生、東京に行く前にしなければいけないことはたくさんあるようで少ない。

感想

中高生が持っているバカな維持やプライド、この世で一番強いと信じ込んでいる仲間意識、そしてしょうもない下ネタで馬鹿笑いする何気ない日々が描かれています。

なのになぜか胸が締め付けられてしまう。

それは、成長してしまった僕たちがどう頑張っても戻ることができない青春がそこにはあるからでしょう。

そうそう、すぐ会えるすぐ会える、夏休みまではあっという間じゃ――。

みんな、そう思っていた。

だから、「じゃあの」「バイバイ」と軽く言葉を交わして、別れた。

重松清は10代の男子を描くのが天才的にうまいです。

自分が経験した青春とは違っていても、間違いなく日本のどこかで起きた青春が描かれています。

「モズクとヒジキと屋上で」の中で、主人公がついていた嘘がばれてしまったシーンがあります。

しばかれるより軽蔑されたほうがええがなと最初は思っていたが、日がたつにつれて、悔しさのような寂しさのような、悲しさのような腹立たしさのような、ぜんぶまとめて情けなさとしか呼べないものが胸に溜まってきて、二人のそばには近づけなくなってしまった。

僕はこの主人公の心の動きが痛いほどわかってしまいました。

みなさんも似たような経験があるのでは?

心がチクっとする場面も、ニヤッと笑ってしまう「男子あるある」もただ単に懐かしむだけでなく、花火の最後の一発が終わった後のような儚い気持ちになるのは僕だけではないはずです。

青春時代に一瞬でも戻りたい人はぜひ「青春夜明け前」を読んでみてください!

それでは、Tchau, Tchau!

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