万城目学 「プリンセス・トヨトミ」

「鹿男あをによし」、「鴨川ホルモー」と並ぶ万城目学の「関西三部作」のひとつ。

第141回直木賞候補にもあがり、2011年には堤真一、綾瀬はるか主演で映画化もされました。

「プリンセス・トヨトミ」

あらすじ

会計調査院に所属する松平、ゲーンズブール、鳥居の3人は大阪に向かっていた。

調査の対象となっていた組織の中で「社団法人OJO」だけが連絡つかず、調査をすっぽかされるのなんて前代未聞である。

しかし、大阪に残ったリーダーの松平にだけ告げられた衝撃の事実。

大阪の男たちが400年も守り続けているOJO?

「大阪国」を日本政府が認めている?

松平に真実が打ち明けられていた時、同席していた真田大輔も同じく困惑していた。

通っている中学校にセーラー服を着ていくという重大な決断をしたばかりなのに、なんで次から次へと訳の分からないことが起きるのだ。

そして調査院の鳥居と大輔のひょんな勘違いから大きく話は動き出す。

一度動き出したら誰にも止めることはできない。

「我々は立ち上がります」と宣告し、決行された大阪全停止。

交通機関までもが完全に止まり、一般人が誰も近づくことができなくなった大阪府庁前で、会計調査院の松平と大阪国の総理大臣が対峙した。

大阪国は本当に存在するのか、大阪が守り続けているものは一体なんなのか。

ついに大阪の隠された真実が明かされる!

感想

フィクションというよりは最早ファンタジーの世界なのに、実は本当に大阪の人は400年もの間秘密を共有し続けているのではないかと思ってしまっている自分がいます。

それほどまでに「大阪」という場所が細かく描写されており、実際に自分が知っている大阪とイメージが折り重なっていくことで、リアリティが生まれてきます。

世界観は万城目学らしさが全開ですが、「鹿男あをによし」、「鴨川ホルモー」に比べるとテンポの良さやコミカルさは控えめです。(ゲーンズブールと鳥居のやり取りは面白いですが)

しかし、その分我々読者に伝えたいメッセージはグッと心に響きます。

「むかし、大阪から江戸に運ばれてきたものを、江戸の人々は『下りもの』と呼んだそうだ。やがて江戸の人々は、自分たちのところに回ってこない質の悪いものを、『下らない』と表すようになった」

細かく練り上げられた大阪の真の姿も圧巻ですが、セーラー服を着る決断をする大輔の描写も素晴らしいです。

本当にこの設定必要なのか?と僕は途中まで思っていましたが、ストーリーに実に深みを与えてくれます。

大輔の考え方、決断力、行動力は並大抵のものではなく、応援したくなるだけに留まらず、あなたに勇気を与えてくれるでしょう。

クスッと笑いながらも、信じているものを守る大切さを改めて認識させてくれる、「プリンセス・トヨトミ」の世界にぜひ飛び込んでみてください!

それでは、Tchau, Tchau!

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2018

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする