伊坂幸太郎 「砂漠」

2005年に出版された伊坂幸太郎の青春小説。

ファンの間で絶大な人気を誇る文句なしの名作。

「砂漠」

あらすじ

仙台の大学に入学した北村は何事も少しさめた気持ちで眺める鳥瞰型に分類される。

そんな彼の大学生活を思いのほか彩り豊かにしてくれたのは4人の友達だった。

常に明るくお調子者の鳥井。

無茶なことを平然と言うが、誰よりも熱く自分を曲げない変わり者の西嶋。

ずば抜けて美人で滅多に笑わないクールな東堂。

触らずに物を動かすことができる能力を持つ南。

麻雀に勤しみ、合コンに励む至って普通の大学生活を送る彼ら。

かと思えば保健所の犬を助け、超能力対決をし、犯罪者だって追いかける。

そんな彼らの日常は小さな奇跡の積み重ねでできていた。

感想

モラトリアムの贅沢さと滑稽さはとても懐かしいですが、その時代に戻りたいと思うのではなく、その日々を心の隅に残しておきながら前に進もうと思わせてくれる、そんな作品です。

風変りで少し地味な登場人物たちですが、そんな彼らの大学生活がキラキラして見えるのは僕だけでしょうか。

タイトルの「砂漠」には色々な意味が込められていると僕は感じます。

一人で生きる世界、乾ききった心、先の見えない未来など。

あらすじにはあえて書きませんでしたが、彼らの大学2年生の夏に大きな事件が発生し、みんなそれぞれの「砂漠」が見えてきます。

西嶋は「砂漠に雪を降らすことだってできる」と豪語しますが、果たして本当に砂漠に雪は降るのでしょうか。

(だからどうという訳ではありませんが、2016年にサハラ砂漠では雪が降ったそうです)

伊坂幸太郎作品の中でも1位2位を争う心の温まるほっこりとした作品ですが、もちろん伏線の回収の仕方や会話のテンポの良さ、屁理屈をこねるキャラの面白さは伊坂幸太郎ならではです。

伊坂ファンならわかると思いますが、「ああ言えばこう言うキャラ」が何故か憎めず、むしろ応援したくなります。

「―――目の前の危機を救えばいいじゃないですか。今、目の前で泣いてる人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ」

僕がこのようなキャラが好きなのは、信念を絶対に曲げない気概を感じられるからかもしれません。

青春時代の想いに耽りながら、また明日から頑張ろうという気持ちになりたい人は是非、伊坂幸太郎の「砂漠」を読んでみてください!

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